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2007/08/19 (Sun) 『ブラックダリア』

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2つの意味で、見るに足る映画なのだ。

メメント メメント
ガイ・ピアース (2006/06/23)
アミューズソフトエンタテインメント

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 最近観た『プレステージ』のラストシーンが忘れられなくて、クリストファー・ノーラン監督の『メメント』をDVDで観た。以前から、チョット屈折した映画をエンターティメントに仕立て上げて見せるのが上手い監督だと感じていたのだが、上記した『プレステージ』以来、それだけじゃないなと言う思いに駆られ、気になる謎を解決したくてついに『メメント』を観た訳です。
 と言うのも、『インソムニア』然り『バッドマン・ビギンズ』然り、以前からこの監督は何故あんなレトリック過剰なスタイルで描くのか? そして、屈折しながらも、深いメッセージと愛情を描こうとしているのでは? と言う疑問を持っていたからなのだ。

 そして、実質上『クリストファー・ノーラン』監督のメジャー・デビュー作であり、彼を新進気鋭の監督として世に知らしめた作品『メメント』に、彼の本質的な物をかなり感じられたのです。

 先ずこの映画『』メメント』のストーリーは、かなり斬新なリバース・ムービーとなっていて、ストーリーの前後が逆転して進行してゆく。ただし、全編がリバースなのではなく、記憶を回想する様に辿って行く10分間のチャプターで記憶が縦軸となって再生されるのだ。
 そして、スクランブルされたモノクロ映像は、過去の順列の進行形のスタイルを採っている。そしてさらに、物語のほぼ中盤で折り返している。つまり、リバースで始まるオープニングのテディを銃殺シーンは、ストーリーを正しい順列で観た時の中盤に位置している。
 その折り返しの時点から主人公のレナード(ガイ・ピアース)がぶつ切りの過去の記憶を観客と一緒にリバースすることになる。  ブログランキング

 この構造を知らずに観ると、この手の映画が嫌いな人は先ず付いていけなくなる。しかし、ノーラン監督は、前向性健忘(発症以前の記憶はあるものの、それ以降は数分前の出来事さえ忘れてしまう症状)のレナードと言う主人公を非常に魅力的に演出しているのだ。記憶を無くした後も前後の流れや自分のアイデンティティを再確認出来る様に、彼は自分の全身にタトゥを入れ、出合った人物や大切なことをポラロイドに撮ってメモする。移動ルートは、ポラロイドを貼り付けたオリジナル・マップを作成して行動するのだ。
 しかし、それでも数分後には記憶が消去され、今何をしているのか、目の前の人物が誰なのかさえ分からなくなる。その度にタトゥやポラで確認するが、謎と不安に襲われる。普通の意志では到底妻を殺した犯人への復讐どころではないが、妻への愛と今の自分の存在の証の為に奮闘する。その鬼気迫るレナードを演じたガイ・ピアースの演技に魅せられて、観客も物語を必死で追うことになる。

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 そこで我々も、レナードと同じ経験をすることになる。
 前向性健忘になっていない筈の我々の記憶も、儚いほどに曖昧なのだ。ほんの僅かなシーンも見逃してなるものかと躍起になるが、それでも???を連発することになる。達也も通常リバースで観て、DVD特典の時系列に編集されたものと、再度通常リバースを観て、やっと3回目にして構成を理解して、幾つかの点に気付いと言う次第。

 物語の概要は、前向性健忘と言う記憶障害に見舞われた男が、最愛の妻を殺した犯人を追うサスペンスである。ロサンジェルスで保険の調査員をしていたレナードは、ある日何者かに妻がレイプされたうえ殺害されてしまう事件に巻き込まれる。その時に犯人の一人に殴られたショックで、レナードは前向性健忘となってしまうのだ。彼は消えてゆく記憶を再確認出来る様にポラロイドにメモを書き付け、全身にタトゥーを刻みながら犯人の手掛かり一つ一つ執拗に追っていく・・・。

 ストーリーだけを簡単に説明すると、何の変哲も無い何処にでもあるありふれたプロットのサスペンスなのだが、ノーラン監督の手に掛かると、この映画がイリュージョンの様に様変わりする。正に『プレステージ』。ややもするとそのあまりにトリッキーなレトリックが鼻に付き、バッドなエンディングと相まって非常にシニカルでクール。そして愛の無い映画にも思えるのだが、達也は逆にそのリアリティとクールな眼差しにこそ彼の深いメッセージと愛を垣間見るのだが、どうだろう。
 
 これは、冒頭に述べた2つの疑問ともリンクしている。
 つまり、一つ目の過剰なギミックとトリッキーな編集についてだが、ノーラン監督は、デビュー後2作にしてハリウッドで大作を手掛けるまでに短時間で登り詰めたのだが、それは商業映画の監督としての彼の徹底したプロ意識にあると見ている。
 それは、この映画『メメント』が、多額のマネーを吸い寄せる構造に成っている事にある。この映画は一度劇場で観ただけでは理解できない複雑な編集で構成されている。従って、観客は再度映画館に足を運ぶことになる。でなくても、「この間見た『メメント』って映画、変わってんだよ」と、口コミのバイラル効果で広告せずとも広がって行く。事実アメリカで公開された時に5館でスタートしたものが、あっという間に500館を超える劇場で公開された事実を見ても明らかだろう。Web2.0を先取りしているのだ。

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 また、DVDのレンタルやセルを考慮し、特典で「もう一つのメメント=リバース編集」が収録されている。これも時代に乗った手堅いビジネスだ。
 インディーズ時代に撮影した実質デビュー作の『フォローイング』では、本業の仕事をしながら終末に15分づつ監督がカメラや製作など5役をこなして作ったようだが、この頃からメジャーへの志向とプロトしての意志を強く感じるのだ。  FC2 Blog Ranking

 そして、2つ目の疑問である、伝えたいメッセージだが、明らかに意図しているものがある。この『メメント』は、前向性健忘と言う記憶障害に見舞われた特殊な男が主人公だが、ある意味全ての人間がそうなのだ。レナードの確かな記憶は10分だが、我々は何分なのか・・・。デジカメやボイスレコーダーがこれだけ普及するのも無理もないことだ。この映画を観ながら我々はそれを思い知らされることになる。レナードと大差ないばかりか、忘れる存在であることさえ、この映画を観るまで思い出せないばかりか、観終わって数時間後には、何も覚えていないことに気付いて驚くのだ。映画のシーンに、レナードとテディが「記憶」と「記録」の違いについて議論するシーンがあるが、明らかに意図して挿入されている。テディは、『記録など意味がない、正常な人間はちゃんと記憶している』と主張するが、微妙である。

 映画の核心に触れるが、レナードは自分に障害があるのでテディやナタリー達が利用していると気付き、自分の記録を消し去り別の記録を捏造する。そして自分の記憶を過信したテディは消去されることになる。
 レナードは妻の遺品を使って記憶を想起しようとするが、その記録である遺品を燃やして消去する。彼のレゾン・ディテールである、妻を愛した記憶だけは消したくなかったからなのだ・・・。

 『メメント=Memento』は英語『Moment』の語源のラテン語で、『思い出』の意味だが、『Memento Mori=死すべき事を忘れるな』と言う意味もある。

 ちなみに、TSUTAYAやDISCASで借りられるレンタルDVDにも、クリストファー・ノーラン監督のロングインタビューや、時系列編集のもう1つの「メメント」などの特典が収録されているので、是非。あっ、アフェリエイトのお努めは『メメント』してるよ。


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